下落合にある墓寺・青泉寺で、亡くなった父が弔われる姿に感銘をうけたお艶は 「縁」という新しい名前を授かり、「三昧(さんまい)聖(ひじり)」として湯灌場に立っていた。 ある日、桜花堂の仙太郎から、暫くのあいだ縁を預かりたいとの申し出があった。 実母お香の居る桜花堂で暮らし、町娘として生きるのか、三昧聖としての人生を全うするのか、 岐路を迎えて縁は悩む。おりしも文化四年、八月。永代橋で大事故が起こり、縁もこれに巻き込まれる。 果たして、縁はどんな人生を選ぶのか。複雑に絡まりあった母と子の運命は!?感動の物語が堂々の完結。